「君たちはどう生きるか」を観て・読んで

※ネタばれあるかもなのでいやな人は移動してください

ジブリ映画の「君たちはどう生きるか」を観てきた。

ネットでの評価は二分されているようだが、そもそも宮崎駿さんの映画ってほんわかファンタジーものでもグロい表現が散見されたりして、単純に子供向けと言うには?なものも多い。

それはさておき、まず今回のポスターから見てみると、タイトルのフォントがまず目に付く。これは鈴木さんでなくて宮崎さんの字ぽいけど平滑化加工されているような感じがする。

宮崎さんの字というと「日本アニメ(ーター)見本市」の字が有名だけれど、特徴があるので判りやすい。今回の文字を見て、前回の「風立ちぬ」の「ち」の文字を見れば同じ筆跡なのがよく判るだろう。同じく「ポニョ」の文字も特徴からすると宮崎さんの字だろう。

これに対して鈴木さんの字というと「ゲド戦記」や「ハウルの動く城」などこれまた判りやすい特徴のある字だと思う。

しかしてそのタイトル。名著とされる吉野源三郎さんの作品と同じなのだが、単純に原作と同じストーリーだと思ったらば、過去の宮崎作品群を見るように大間違いだということがすぐ理解できる。

前回「これで引退」と言われていた「風立ちぬ」は原作のイメージ(というよりモチーフとしたと思われる箇所)とそれとはまた違うテーマ(堀越二郎さんの話)+宮崎さんのオリジナルであったのだろうが、今回はさらにすごくて、ストーリー上で原作との関連はほぼないと見ていいだろう。

ただその根底にある考えやキャラ設定の一部には吉野さんの原作とリンクしているところがあり、ときどきふわっと「あれ、このキャラ・あのセリフは原作のあの人あの話をモチーフとしているのかな」などと思わせる節がある。そういう意味では原作に登場する人物を今回の映画にキャラ充てなどをしてみる見方も楽しいかもしれない。まあ主人公はまんまコペル君そのものなのだけれど。

コペル君の話が出たけれど、コペル君というのは原作に出てくる主人公のことです。

このコペル君、原作では勉強はいつもトップクラスなのに野球好きでいたずら好きの腕白少年という、比較的明るいキャラとして書かれているのだけど、漫画版では眼鏡を掛けて静かな優等生キャラっぽく描かれている。

このため、原作本と漫画版ではストーリー的にはほぼ同じなのに作品から受ける印象は随分と違う。これは昭和-平成と時代背景に合わせ脚色・設定変更などされていたり内容が簡略されているためやむを得ない話とは言え、ここまで違うと漫画版は違う作品あるいはスピンオフ作品と見るのがよいのかもしれない。まあこの話は今作に限ったことでなく映像化された時などによく言われる話ではある。

尤も今回の原作であっても、元は昭和12年(1937)でありその後何回も改訂されているのだが、これは原作者がその時代に合わせて修正したためで、もともと少年向け図書というところで正しい改訂ではあるのだが、大人になってしまった自分達が読むのであれば古典文学的な意味からして個人的には原書に最も近い岩波文庫版が良いかなと思う。

因みにこの原作も漫画版も映画と同じく世間の評価は二分化のようで、映画の評判を見るにつけ時代は繰り返すかなあと思えるものです。

さて、それで今回の映画については・・・・・・

・表現の技術革新はジブリにも

・う~ん、棒読み(^_^;)、まあジブリ作品ではよくあること(わざとかな)

・おう、やっぱりグロい絵がけっこうあるな

・わらわら子供受け狙いキャラ確定

・過去作を思い出させるイメージ多数(東映時代作含め)安定のテンプレ

・弓矢がかっこいい。武器の表現など相変わらず緻密な描写

・今回はおばあちゃん軍団→7人の小人か!となれば主人公が白雪姫?

・鳥嫌いな人は避けた方がよいかも→可愛くない

・本当はアオサギでなくハシビロコウにしたかったのでないかな

・謎未回収多くね→エヴァ風→なのでいつもの「おわり」「おしまい」の手書き文字がないのか?

・意外かつ有名な声優(?)陣

・えー!超豪華スタッフ・作画チーム

映画を見終わって思ったことは多々あれど、映画の公開を受けて原作本の岩波文庫がすごく売れているという理由も分かる気がする。ある意味解説本としての需要なのだろう。

今回作は世間で言われているように、いろいろな解釈が成り立つ作品な訳だけれど、自分としてはこう解釈した。

「私はこのように生きてきたし、こうやって生きていく」

それに続く言葉が今回のタイトルなのは言うまでも無い。