10年目にして「きゅうり」を味わう

いま、単身赴任の身であるのだが、今日の夕飯のおかずでも、何かいいものないかなと思ってスーパーへ行った。
魚コーナーにししゃもがあって、買おうか迷ったが、そこに居たのは「からふとししゃも」で、ほんものの「ししゃも」でないことから、見送った。ほんものじゃないのに8匹で400円もするのはなあ・・、ほんもののししゃもの味はなかなか味わう機会がないが、またいつか出会ったら食べてみたい。
スーパーを一巡して再び魚コーナー。すると「からふとししゃも」の反対側に、ちらっと「ほんもののししゃも」の様な姿を発見した。
「こ、これは・・!」僕はその場に固まった。なぜかというと、それはほんもののししゃもではなかったからだ。
http://www3.ocn.ne.jp/~shinzan/moemo/moemo/speciale/tayoriS2.htm
上の自分のホームページにも書いてあるが、なんと、スーパーに居たのは、幻の「きゅうりうお(北海道産)」だった!
ここで会ったが10年目というやつである。10年間、いつか再会する時もあると思っていたが、はからずも遠く離れたここで再会することができたのであった。
10年ぶりに見るきゅうりは、やはりほんものししゃもにそっくりである。しかし魚体がでかい。ししゃもの倍、30cm近い大きさで、鮎をスリムにした感じなんである。歯はししゃもより鋭い歯を持っており、ししゃもより下顎が突き出して口がでかい。
あの時、網走の魚屋が「こいつはししゃもより旨いぜ、買っていかんか」と言うのを、卵を持っていない季節だったことから見送ったのだが、今日の「きゅうり」は「子持ちきゅうりうお」と表示されていた。
そんな訳で、購入を決断したのであった。
夕飯のおかずを買いに行ったのだが、ちょうど昼時だったので、さっそく昼のおかずにすることにした。
焼くと、においは本物のししゃものようなにおいがする。これは期待できそうだ。
ちなみに「きゅうりうお」はこれが川を遡ってくると、きゅうりのようなにおいがするそうだ。岐阜でも鮎で有名な川は「すいか」のにおいがするが、そんなものだろう。きゅうりも鮎も同じ科目のなかまだし。つまり食味も近いものがあるはずなのだ。
ごはんとみそ汁も用意して、朝ご飯のような昼食にした。
どれどれ肝心の「きゅうり」の味は・・
「美味しい!」ほんもののししゃもと変わらないくらい!いや、魚屋の言ったとおり、好みによってはそれ以上かもしれない。なんといってもでっかいので、食べ応えがある。なんとなく鮎とししゃもの中間よりややししゃも寄りという感じ。ただ、卵のぷちぷち感はししゃもが有利か?ちなみにししゃもやきゅうりうおは、焼き魚としてはオスの方が美味しいという。
いずれにしてもあっという間に5匹がお腹に入って、満腹となった。久しぶりに納得の昼ご飯でした。
しかし、考えてみるとこの「きゅうり」、あまり知られていない魚のため、価格が安い。5匹で300円切っているのである。gあたりで言えばだんぜん「からふとししゃも」より安い。味はほんものししゃもと同等以上、しかも「北海道産(「からふとししゃも」みたくカナダやノルウェー産じゃないよ)」である。
海外でも環境問題となっている、「からふとししゃも問題」。それを考えたら国内で完結する「きゅうりうお」を食べる方がだんぜん正しい。消費者も賢くなってほしいものである。
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※「からふとししゃも問題」
日本人が「子持ちシシャモ」を好むことから、メスのカラフトシシャモのみ選別し、加工に回していることにより、オスのカラフトシシャモが大量に海に投棄され、海洋汚染および、それをエサとするカモメの数が増大したことによる、ウミガラスエトピリカなど希少種である鳥の繁殖を妨げているという問題。環境問題でもあり、生物多様性の問題でもある。
なお、ほんものししゃもやきゅうりうおのオスは食用として出回っているが、カラフトシシャモのオスはほとんど流通しておらず、ほとんどが投棄または家畜・養殖魚等の飼料となっている。
また、近年ではカラフトシシャモの乱獲により、漁獲量が激減しており、ほんものししゃものみならず、カラフトシシャモまでもが食べられなくなる時代が近づいてきている。